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AZUReLY BLUE SIDeのブログ。基本的に雑多。
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415208992Xハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
伊藤 計劃
早川書房 2008-12

by G-Tools



あらすじ(抜粋)
「一緒に死のう、この世界に抵抗するために」―御冷ミァハは言い、みっつの白い錠剤を差し出した。21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は医療経済を核にした福祉厚生社会を実現していた。誰もが互いのことを気遣い、親密に“しなければならない”ユートピア。体内を常時監視する医療分子により病気はほぼ消滅し、人々は健康を第一とする価値観による社会を形成したのだ。そんな優しさと倫理が真綿で首を絞めるような世界に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した―。それから13年後、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、かつて自殺を試みて死ねなかった少女、現在は世界保健機構の生命監察機関に所属する霧慧トァンは、あのときの自殺の試みで唯ひとり死んだはずの友人の影を見る。これは“人類”の最終局面に立ち会ったふたりの女性の物語―。『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。


「意識」、「わたし」の調和の物語です。

作者の伊藤計劃氏は2009年3月に逝去されており、この本は闘病中に書かれたそうです。それを考えると「病気にならない世界」やこの本で言及されている「意識」についての重さが心に沁みます。

あらすじにある「ユートピアの臨界点」はまさにそうです。「わたし」という「意識」を抱える人間にとってのユートピアとは? それに対するある一つの答えが明示されます。

正しいかどうかはともかく。望むかどうかはともかく。

文体には「etml」という独自の試みがされています。最初は意味が分かりませんでしたが、最後でなぜこの物語が「etml」で書かれているのかが分かります。この試みは面白かったです。

今後、このような面白いSFを書かれることもないんですね……。

亡くなられたのが本当に残念です。




「いま人類は、とても幸福だ。とても。とても。」


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